自営業者は「(収入が)安定していない」というイメージがあり、住宅ローンの審査が通りにくいという現実が実際にあります。その中で自営業者におすすめの住宅ローン商品「フラット35」についてふれていきます。
自営業者にフラット35をすすめる3つの理由
私が自営業者へおすすめしたい住宅ローンは「フラット35」です。フラット35とは、最長35年の「全期間固定金利ローン」を提供している「住宅金融支援機構」の住宅ローン商品です。ですが、窓口は銀行をはじめとする民間の各金融機関が行っています。「国が支援している“住宅ローン”」というとわかりやすいかもしれません。
一般的に住宅ローンを借りるのが難しいといわれている自営業。住宅ローン商品はたくさん存在しますが、なぜ自営業者にフラット35がおすすめかの理由を、3つ挙げてみました。
①職業による選別をされない!
「職業による選別」とは、住宅ローンを借りる方がどんな職業・業種なのかを確認した上で、継続的に返済をしていくことが可能かどうかを審査されるということです。
住宅ローンは有利になる職業、不利になる職業があると言われています。有利な職業の特徴は、安定した収入があり確実な返済が見込める職業です。例えば、公務員や有名上場企業へ勤めている方、医師等です。
一方、自営業は不利と言われています。なぜかというと、季節や天候、景気に売り上げが左右されやすい業種が多く、規模も小さいために、毎月の収入が安定しないだろうと判断されてしまうことが多いのです。また、自営業は時代の流れや流行り廃りで、廃業していく数が多いというのも理由のひとつであるようです。
住宅ローンは長期間にわたって安定した返済能力を持っているかどうかが、最大のポイントとなります。そのため、通常は審査で「職業の選別」をされるのですが、フラット35はそれがありません。自営業者にとっては大きなメリットではないでしょうか。
②「フラット35」の審査は甘めです!
フラット35は他の住宅ローン商品と比較して、審査が甘く通りやすい傾向にあります。これは自営業者に対する審査も同様です。
なぜかというと、最初にもふれましたが、フラット35の運営体系が他の住宅ローン商品のプランと違うことに理由があります。一般的な各金融機関独自の住宅ローン商品と違って、フラット35は窓口は金融機関ですが、貸し出すお金はもともとは国から出ています。そのため、金融機関は事実上リスクを負わずにお金を貸すことができるのです。このような事情があるために、フラット35の審査は比較的通りやすくなっているようです。
同じ金融機関で、その金融機関自体が直接貸す住宅ローン商品と、フラット35の両方に申し込んだとしても、それぞれ審査基準が異なるため、フラット35のみ審査に通るといったこともあります。
③年収の証明は前年の収入のみ、1年分で間に合います!
通常、住宅ローンの審査は申し込み日の前年の年収を見られます。サラリーマンは源泉徴収票の「支払金額」という欄に記載されている額面年収が審査されることになります。ところが自営業者に対しては、たいていの金融機関が過去3年分の年収をチェックします。そして、経費を引いたあとの収入が審査されます。
例えるならば、事業の収入が1000万円で申告している収入が300万円だとすると、300万円の年収で借りられる範囲までしかローンが組めないということになります。そして、自営業者は本来は「3年連続で黒字」が一つの目安といわれれています。
ですが、「フラット35」は自営業者であっても申し込みの前年の年収で審査をします。加えて、決算書の提出も原則として不要となっています。
フラット35の審査が通るためにも、3年間・年収300万円は必須です!
自営業者が住宅ローンを申し込む場合、一般的には提出書類に過去3年ほどの確定申告書類を求められるケースが多いです。住宅ローンの申し込み基準の年収は、各金融機関どこでも、300万円からが圧倒的です。よって、自営業者が住宅ローンを組むためには、まずは最低2~3年は、年収300万円以上の稼ぎが必要となります。
借入金額によって変わってきますが、まずはこの条件を満たさなければ、どの金融機関に行っても住宅ローンを組むのは難しいと言えます。
あれ?「フラット35だと前年の年収で判断されるのでは?」と思われたかもしれません。確かにそうですが、絶対はありません。金融機関は、長期間継続して返済できる方=安定して収入を得てきている方、そして、今後も安定して収入を得るであろう方、にお金を貸したいのです。確実に審査に通るためには、3年間安定した収入を得ていることを示せることが重要です。ですが、自営業者は赤字かどうか等、他にも審査される点がたくさんあるので、年収は最低限の条件程度に捉えてくださいね。
住宅ローンを検討する前に押さえておきたい注意点
自営業者にフラット35の良さを書いてきましたが、気を付ける点もあります。フラット35がいくら通りやすいといっても、どんな状況の自営業者でも審査が通るわけではもちろんありません。住宅ローンを検討されている自営業者はこれらの点は大丈夫かな?と確認してくださいね。
①創業・開業したばかりの方
残念ながら信用がありません。信用がないということは、当然住宅ローンを借りるにあたり不利になります。しかし、住宅ローンが絶対通らないというわけではありません。最低でも1期分の確定申告書か決算書が必要となります。これらの書類を用意して申し込めばOKではなく、自営業者でもローンが通りやすい金融機関や住宅ローン商品(フラット35を含めて)を選択する必要があります。
②直近3年間の業績のうちに1度でも赤字のある方
住宅ローン審査の最大のポイントは上記でも挙げた「安定・継続した収入」です。ですが2~3年前は赤字でも、前年度の業績が黒字であれば、フラット35の審査が通るかもしれません。フラット35は、主に前年度の所得をもとに審査するからです。どのような理由で赤字にしているかが重要となってきます。
③税金対策で所得を低めに申告されている方
実際は順調に利益を上げていても、税金を減らすために収入を過少申告していたり、経費をきっちり計上したりしている人は多いでしょう。節税したい気持ちは分かります。しかし、住宅ローン審査の際に提出する確定申告書の中で、審査に使われる年収は「収入」ではなく「所得」の方です。すなわち、あれこれと経費で落としていると、年収が少ないとみなされるので注意が必要です。
④税金を滞納されている方
借金やカードローンの借り入れがある場合、住宅ローン審査は不利になります。しかし「自営業者が税金を延滞している」というのは、借金以上に住宅ローン審査に響きます。万が一、税金の支払いが遅れている方は、事前審査の段階で金融機関に確認しつつ、すみやかに未納の状態を解消しましょう。
⑤住宅ローンの借り換えも視野にある方
新規のローンに比べて通りにくいようです。自営業者は、借り換えを前提としたローンは組まないほうがよいと思われます。最初に組む住宅ローンを慎重に検討してください。
自営業者もマイホームをもてます!借りられます!
基本的に、自営業者は住宅ローン審査においては不利な立場に置かれています。なので、どうやって信用を高めて審査を通すかを長期的に考える必要があるのです。そんな中で、フラット35は審査に通りやすい傾向があるのでおすすめです。きちんと段階をふんで、準備をしていきましょう。