頭金とは、物件価格のうちの何割かを自己資金で用意する金額のことを指します。住宅ローンといえば=頭金を用意する が以前は一般的でしたが、現在では「頭金ゼロで住宅ローンを組む」ことはそれほど珍しくない状況になりました。
今回は、頭金は必要なの?どうするべき?についてふれていきます。
頭金は用意すべきなの?
頭金を貯めてから住宅ローンを組むというのは、堅実な方法です。頭金が多ければ多いほど、住宅ローンの借入額は少なくてすむわけですから。頭金の額にルールはありませんが、住宅ローンの返済のバランスを考えた上で無理のない範囲で頭金の準備ができたとすれば、それは理想かなとはいえます。
頭金があることによるメリットは2つ
①金利が優遇されることがある
ある程度の頭金があった方が住宅ローンの審査が通りやすく、金利もより低くなりやすく金融機関が優遇してくれるといったメリットもあります。すこしでも良い金利で住宅ローンを組みたければ、頭金は物件価格の10%以上用意するといいと言われています。
②住宅ローンの審査に通りやすくなる
住宅ローンの審査は、借り入れされる方を総合的(年齢、職業、年収、勤続年数、健康状態、他の借り入れ状況)にみて、判断しています。その中で、借り入れ金額が年収に見合っているのか、無理なく返せる範囲なのか、は最も重要なポイントになります。当然ですね、どんなに年齢や勤続年数に問題がなくても、年収と比較して無理のある金額の借り入れは、金融機関側も貸すことを躊躇いますよね。
頭金を入れるということは、その分借り入れ金額の総額が減ります。借り入れの金額が少なければ充分に返済し続けることは可能と判断され、審査に通りやすくなるといえます。
総貯蓄を全て頭金にすることは危険です!
まとまった貯蓄があるから、それを頭金に入れて、少しでも借入金額を減らそうと考える方もいるかもしれません。
頭金について、「今ある貯蓄が頭金にまわせる金額」と思いがちです。ですが、マイホームの購入にあたって、お金がかかるのは家本体だけではありません。まず、家が完成するまでの間に、登記費用や保証料等、様々な諸費用がかかってきます。物件や条件によっては、諸費用が100万円前後かかることがあります。また、諸費用以外に、家具やカーテンの購入費用、引っ越し代等もかかります。これも現金で支払うものなので準備しておかなければなりません。
諸経費を住宅ローンに含む方法もありますが、諸経費分くらいは貯蓄で用意しておくべきかと考えます。「諸経費は、貯蓄で賄えます」と金融機関にいえる位の方が信用的にもよいかもしれません。言えないということは、貯蓄がないという逆証明になってしまうともいえます。
加えて、給与ダウン、失業、家族の病気等、長い人生、何が起こるかわかりません。いざという時の出費に対応するためにも、まとまった貯蓄は必要不可欠といえます。なので、その分まで頭金につぎ込むのは大変危険です。頭金を入れる場合は、これらを考慮した上で支障のない範囲を選択すべきかと思います。
頭金なしの選択もアリです!
頭金はあれば良いとは思いますが、今はこれだけ“低金利”とわれている時代なので、頭金を貯めるよりも先にマイホームを買ってしまったほうがお得かなとも感じます。
ローンには色々と種類があります。住宅ローンにはじめ、教育ローン、車のローン、消費者ローンにカードローン。この中でダントツに金利が安いのは住宅ローンなのです。車の広告、銀行においてあるチラシ、見てみてください。マイカーローン〇%、教育ローンやフリーローン〇%、どれを比べても、住宅ローンが圧倒的に金利が安いといえるかと思います。
今ある貯蓄を住宅ローンの頭金につぎこめば、確かに住宅ローンの借り入れ金額は減りますが、その分家計の総資産が減ることにはなります。いざ車を買おう、いざ子供の入学金、の時に、住宅の頭金にたくさん入れて貯蓄にゆとりがないから、より高い金利の車や教育ローンを組むのでは何だか本末転倒、すごくもったいないことをしているのではないでしょうか?
マイホームを持ちたいのなら、住宅ローンは「いかに早く返して、年金暮らしが始まる前に完済のメドを立てるか」がポイントといえます。きっと、いつか、マイホームを買うのならば、頭金分を貯まるのを待つよりも、早めに買って、コツコツと返済を早く始めることも、得策ともいえます。
頭金に相当する額を貯めて、どう使うかは選択をする
頭金なしの、100%全額住宅ローンでマイホームを手に入れることが可能の時代になっています。ですが、貯蓄が全くない状況でマイホームを購入することは、少し無謀であり危険でもあるという認識は、しておいた方がよいと言えます。頭金を貯めることは住宅ローン返済の練習にもなりますし、コツコツと貯蓄をする習慣も身に付きます。
住宅ローンはみんな組んでいるから、マイホームを買うには住宅ローンを組むのは当り前だから。確かにそうですが、住宅ローン=借金であって、莫大な金額を借金しているという事実はかわりません。「(住宅)ローン」というカタカナの言葉で聞くと、優しくふわっと聞こえますが、家計や家庭、世の中の情勢が変化しようとも、借りたものは返していかなければなりません。
私でしたら、低金利のこの時代、頭金に相当する分を貯蓄としておきつつ、住宅ローンは全額借りてしまうかなと思います。贈与などの税制上のメリットや、住宅ローンの制度上のメリットを利用して、頭金分を用意したり100%上手に借り入れする手段もあります。
家計に無理のない範囲のマイホームを選択し、住宅ローンをどうするか、準備、検討していくことが大切です。